今年4月に松竹マルチプレックスシアターズMOVIXさいたまにドルビーシネマが年内に導入予定であるとの発表があり、正式日程の発表が心待ちにされていましたが、何とこの先を越して、ティ・ジョイ博多に今秋日本初上陸との発表(ティ・ジョイ:ニュースリリース)がありました。
ドルビーシネマ(Dolby Cinema)とは特殊映像表現方式であるドルビービジョン(Dolby Vision)と特殊音響表現方式であるドルビーアトモス(Dolby Atmos)により構成されるドルビーが推進するプレミアム上映方式です。(ドルビービジョンとドルビーアトモスという名称は家庭用の特殊映像/音響表現方式にも使用されていますが、技術的には全く別物と考えるべきです。)
ドルビーシネマの映像表現方式であるドルビービジョンは、通常のデジタルシネマの最高輝度とコントラストを大きく上回る上映を可能とする独自規格の上映方式で、米国では2015年に「トゥモローランド」(IMDb) で一般上映が始まり、既に100館を超えるプレミアムスクリーンで楽しまれています。
最高輝度だけで比較すると類似のプレミアムスクリーンを提供するIMAXもありますが、ドルビーシネマの大きな特徴は薄暗いシーンでも細部の映像表現を失わずにスクリーンに再現できるという点にあります。この点において、現時点で商業利用可能な上映方式として対抗できる技術はないでしょう。
唯一対抗できる可能性のある上映方式としてSamsung Onyxがありますが、現時点ではドルビーシネマに対抗する規格で商業上映は行われていません。
ドルビーシネマ日本上陸に関する懸念
さて、米国での導入から遅れること三年、念願のドルビーシネマが日本にも導入されることになったのは喜ばしい限りですが、表向きには語られない技術的な懸念もあります。
ドルビーシネマの大きな特徴として『薄暗いシーンでも細部の映像表現を失わずにスクリーンに再現できる』と書きましたが、日本で上映する際に懸念されるのは字幕との干渉です。
日本語の字幕は、多くの国の字幕と比べて、歴史的な習慣で極めて大きなフォント(字体)が使用されています。明るいシーンではそんなに気になりませんが、薄暗いシーンでは字幕の明るさが邪魔をしてドルビーシネマの最大の特徴である『薄暗いシーンでの細部の映像表現』が完全に失われてしまうことになります。
勿論、これを回避する方法もありますが、果たして日本で公開される際に、どのような形で公開されるのか、大変気になるところでもあります。
当然プレミアムスクリーンとしてプレミアム料金が課されることになると思いますが、観客としてはプレミアム料金に見合った体験が得られるように、注視しておきたいところです。
「ドルビーシネマ、日本上陸予定のアップデート」への2件の返信
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