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デジタルシネマ 名前付け規則 / 付録8: 準拠規格とDCPの形式 (日本語訳)

準拠規格(Interop-DCP か SMPTE-DCP か)

今日、殆どのデジタルシネマパッケージ(DCP)は SMPTE-DCP で配給されています。以前の配給では Interop-DCP が使用されていました。Interop-DCP はそれまでの運用の過程で事実上の標準(デファクト)となった方式に基づくものでしたが、現在業界では正式な標準である SMPTE-DCP に移行しています。

訳者注:Interop-DCP か SMPTE-DCP か

日本国内では、今日までのところ、一部の上映形式に対応したDCPを除き、
殆どが Interop-DCP で配給されています。
日本語字幕付きDCPを SMPTE-DCP で配給した場合、上映機材によっては不具合を起こす可能性があるので、ご注意ください。SMPTE-DCP で配給する際には、使用される上映機材との適合性を
十分確認した上でご利用ください。

SMPTE-DCP への移行はプロジェクターよりも主としてサーバーに影響を及ぼしますが、プロジェクターで字幕を生成する場合はプロジェクターも影響を受けます。

DCPの形式を識別できるように、名前付け規則では Interop-DCP には “-IOP” を、SMPTE-DCP には “-SMPTE” をそれぞれ明示的に表記します。加えて、DCP が3D版の場合、 “-3D” を付加します。これにより、ファイル名の末尾で素早く準拠規格を識別し、3D版か否かを判別できるようにしています。

CPLの内部

ここでの CPL は SMPTE-DCP に紐付けられているという前提です。 Interop-DCP はいずれは次第に使われなくなるフォーマットです。

DCPの形式

殆どのDCPには本編または予告編の全てが含まれています。しかし時として、”補足的な” DCPがリールや言語や他の機能を差し替えるために送られます。この “補足パッケージ” には通常すべてのデータは含まれず、この場合、両者を合わせて上映する必要があります。DCPの形式とそれに紐づけられたCPLを識別するため(例えば、そのDCPにはすべてのデータが含まれるか一部分しか含まれないかを知るため)、CPLの末尾に記号が付加されます。その記号には以下の二つがあります。

OV = オリジナルバージョン(もしくは、何も表記しなくても良い

VF = バージョンファイル(他のCPLに付随するファイルが必要な場合に限る

OV” パッケージには常に上映に必要なすべてのデータが含まれます。

VF” パッケージには通常部分的なデータ(字幕、代替言語、差し替えシーンの寄せ集め)しか含まれず、正しく上映するためには、OVトラックファイルも一緒にロードする必要があります。

OVパッケージは必ずそれ自身のCPLとトラックファイルが同梱されて送付されます。

VFパッケージは必ずそれ自身のCPLとしばしば差し替え用のトラックファイルが同梱されて送付され、既に存在するOVトラックファイルと組み合わせて上映します。

VFパッケージは時としてそれが紐づけられるOVパッケージと共に送付されます。この場合、OVパッケージはそれ自身のCPLを必要としません。何故なら、VF CPL が上映内容を規定するためです。  (下図参照)

全般的な規則

OVファイルとVFファイルにラベルを付けるに当たって、守らなければならないルールがあります。

本編のバージョン番号は作品の分類の項目に付加します。 例えば:

MOVIE-TITLE_FTR-1_F_EN-XX_US-PG_51-EN_2K_ST_20070115_FAC_OV

MOVIE-TITLE_FTR-2_F_EN-XX_US-PG_51-EN_2K_ST_20070115_FAC_OV

上の例では、本編バージョン#1 と本編バージョン#2 にはいずれもそれ自身の OV ファイルがあることが分かります。それぞれのOVファイルには上映に必要なすべてのデータが含まれており、(KDMを除いて)他に何も追加することなく上映することができます。

本編作品の第一言語を使用したオリジナルのOVファイルは存在しますが、加えて「包括国際バージョン」のためのOVファイルも存在することがあります。この包括バージョンには字幕版または無字幕版があることがあり、名前付け規則の配給地域の項目に次のように表記します。

INT-TD = 字幕版

INT-TL = 無字幕版

米国向けオリジナル英語バージョンの表記例:

MOVIE-TITLE_FTR-1_F_EN-XX_US-G_51-EN_2K_ST_20070115_FAC_OV

本編作品の包括国際字幕版には個別にOVファイルが存在します。その配給地域の項目には “INT-TD” と表記され、作品の分類の項目には “FTR-2” と表記されます。:

MOVIE-TITLE_FTR-2_F_EN-XX_INT-TD_51-EN_2K_ST_20070115_FAC_OV

包括国際無字幕版にも個別にOVファイルが存在します。 その配給地域の項目には “INT-TL” と表記され、作品の分類の項目には “FTR-3” と表記されます。:

MOVIE-TITLE_FTR-3_F_EN-XX_INT-TL_51-EN_2K_ST_20070115_FAC_OV

注記:極めて重要な注意点として、ひとつひとつのOVファイルにはコンテンツの種類の項目で異なるバージョン番号を付けて区別しなければなりません。

とはいえ、個々の地域配給版のために、新たにOVファイルを作成する必要はありません。これは既に存在するOVファイルにVFもしくは”Version File“を組み合わせることができます。

オリジナル米国向け英語バージョンのDCPを次のように表記したとします。

MOVIE-TITLE_FTR-1_F_EN-XX_US-PG_51-EN_2K_ST_20070115_FAC_OV

フランス語バージョンを作成するには、変更内容を含む補足パッケージ作成することができます。これを次のように表記することができます。

MOVIE-TITLE_FTR-1_F_FR-XX_FR-AA_51-EN_2K_ST_20070115_FAC_VF-1

この “VF-1” を正常に上映するには、VF-1に加えてFTR-1 (本編バージョン#1) のOVファイルが必要です。 両者を合わせて処理することでフランス語バージョンができます。ここで、作品の分類の項目の本編バージョン番号 “FTR-1” は変更してはなりません。

バージョンファイルを使用する限り、単に配給地域毎の変更を行っても、本編のバージョン番号は変わりません。

地域配給のバージョンとしてどうしてもOVを作りたければ、それは可能ですが、その場合、本編のバージョン番号は変えなければなりません。 (一つの本編バージョンに対して複数のOVを持つことはできません。

複数の配給地域に向けて映像や音声を差し替える場合は、新しいバージョン番号を付けたOVファイルを新たに作成しなければなりません。

バージョンファイルの仕組みはオープンキャプション版、 クローズドキャプション版を作成する際にも使えます。

CPLの内部

Content Version (DCPの形式) は //ContentVersion に表記されることがあります。

<CompositionPlaylist xmlns="http://www.smpte-ra.org/schemas/429-7/2006/CPL">
     …
     <ContentVersion>
          <Id>OV</Id>
          <LabelText>Package Type</LabelText>
     </ContentVersion>
     …
</CompositionPlaylist>

また、この情報は Alternate Content Version として //CompositionMetadataAsset/AlternateContentVersionList/ContentVersion[n] に表記されることもあります。

<CompositionMetadataAsset xmlns=”http://www.smpte-ra.org/schemas/429-16/2014/CPL-Metadata”>
     …
     <AlternateContentVersionList>
          …
          <ContentVersion> 
               <cpl:Id>OV</cpl:Id> 
               <cpl:LabelText>Package Type</cpl:LabelText> 
          </ContentVersion> 
          …
     </AlternateContentVersionList>
     …
<CompositionMetadataAsset/>
追記:
  1. CPLには明示的なOV/VFの概念はありません。ContentVersionAlternateContentVersion の使用は推奨に過ぎません。
  2. CPLにはその最上位のUUIDを含むId要素があり、個々のバージョンを厳密に特定するために使用することができます。

日本語訳に関するお問い合わせ: contact@cinematechnology.jp