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DCI ウェブサイトがフルリニューアル(ソフトオープニング)

デジタルシネマの技術規格と認証基準の策定、上映機器の認証を行ってきた DCI のウェブサイトのデザインが刷新されました。

これまで各種文書のHTML化など、細かな改善が施されてきましたが、今回はサイト全体のページ構成が刷新され、各種情報の検索性、視認性が大幅に改善されたようです。

認証機器情報の一覧性

個人的に最も改善して欲しかったのが、認証機器情報の一覧性でした。

今回のリニューアルにより上映機器のメーカー、型番、派生機種、登録日などの一覧性が大幅に改善されたようです。

認証基準の細分化

認証基準が細分化(SDR/HDR×投射型/直視型)されたのに伴い、従来型の認証機器は SDR 投射型と明記されています。

新しい認証基準のカテゴリーとしては、(SDR or HDR×投射型 or 直視型)の四種類が設けられました。

これによって認証された上映機器がどの認証基準で認証された機器なのかが明確に分かることになります。

因みに新基準で認証された機器はまだ存在しないため、いずれもまだ空欄のままです。

これまでの直視型上映機器の分類は?

これまでに認証された直視型上映機器は従来型(SDR 投射型)の基準で認証されてきました。この認証自体は引き続き有効ですが、SDR 投射型の基準で認証されたことが注記されています。

SDR 直視型の認証基準が有効となった現在、今後直視型上映機器で新たに認証を受ける場合はこの基準で認証を受けることはできません。

但し、既に進行中の認証試験については旧ルールでの認証を受けることになります。この点については、これまでのルール改訂に伴う取り扱いから変更ありません。

各種認証機器の比較一覧性

認証基準の分類が見やすくなった一方で、機器毎の技術仕様、評価内容については個別のファイルを掘り下げて読み解く必要があります。注目する技術項目での比較したい場合には、これまで同様の手間が掛かる状況に変わりはなさそうです。

この点については、メーカー毎に提供される技術仕様の項目、書式にはばらつきがあること、認証試験を担う団体 (Testing Partner) 毎に作成される報告書の項目、書式にばらつきがあることから、遡って書式を統一するのは期待できないかも知れません。

上映機器の製品寿命にも要注意

今回のサイトリニューアルとは直接関係ありませんが、認証機材の製品寿命については注意が必要です。

一旦認証を受けた上映機材は追加認証を続ける限り、ソフトウェアのバージョンアップを経ても使用し続けることが可能ですが、製品寿命を迎えてバージョンアップ等のメーカーサポートを受けられなくなる型式も出てくることになります。

DCIの認証機材のリストにはそのような情報は含まれないので、個別に製品寿命の確認を怠らないように注意しなければなりません。

このような事情は踏まえつつも、上映機器の導入を検討している劇場主が信頼できる客観的な情報源として、より使いやすい形になるように、引き続き改善を期待したいところです。

作成者: Yoshihisa Gonno

デジタルシネマ黎明期の2005年から国内メーカーで初のデジタルシネマ上映システムの開発をリード。その当初からハリウッド周辺の技術関係者との交流を深め、今日のシネマ技術の枠組みづくりに唯一の日本人技術者として参画。
2007年から5年間、後発メーカーのハンディキャップを覆すべく米国に赴任。シネマ運用に関わるあらゆる技術課題について、関係各社と議論、調整を重ねながら、自社システムの完成度を高め、業界内での確固たる地位を確立。
2015年からは技術コンサルタントとして独立。ハリウッドシネマ業界との交流を続けながら国内のシネマ技術の向上に向けた活動を続けている。
2018年から日本人唯一の ICTA(国際シネマ技術協会)会員。
プライベートでも「シネマ」をこよなく愛し、これまでのシネマ観賞(劇場での映画観賞)回数は1500回を優に超える。

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