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日本語版 デジタルシネマ名前付け規則 V9.6.1 公開

デジタルシネマの運用にいくつか新しい技術が加わったことにより名前付け規則もISDCF での議論を通じて改訂されてきましたが、そろそろ一旦落ち着いたようなので、日本語版も更新しました。

デジタルシネマの運用にいくつか新しい技術が加わったことにより名前付け規則もISDCF での議論を通じて改訂されてきましたが、そろそろ一旦落ち着いたようなので、日本語版も更新しました。

『日本語版 デジタルシネマ名前付け規則』が初めての方はこちらのリンクからお読みください。すでにご利用中の方はこちらのリンクからご利用ください。

V9.5 からの主な変更点

V9.5 からの主な変更点は、

  • 作品の分類に EPS を追加、並びに CPL メタデータとの対応関係を追加(付録 3
  • 没入型音響形式に関する記述方法の整理(付録 4
  • CPL メタデータの拡張(付録 12

です。

作品の分類に EPS を追加(付録 3

EPS というのは「エピソード」を短縮したものですが、昨今のネットストリーミング系のスタジオの台頭とも相まって、連続テレビドラマのシリーズを上映するという例が出てきています。

主タイトルは同じでも第何シーズンの第何話という形で区別したい場合にこの属性を使用することを想定しています。

ここで注意したいのは、「スター・ウォーズ」や「ワイルド・スピード」の第何作目のような場合にはこの属性を使うのではなく、従来の FTR を使います。

CPL メタデータとの対応関係を追加(付録 3

SMPTE DCP の CPL 中に記述される CPL メタデータとの対応関係がより細かく記載されるようになりました。

但し、マイナーな項目の中には名前付け規則と完全に対応していない項目もあり、SMPTE DCP と Interop DCP が混在する状況では、現場での注意が必要かも知れません。

没入型音響形式に関する記述方法の整理(付録 4

没入型音響方式の SMPTE 技術標準が固まり、市場導入の準備が整いつつありますので、名前付け規則でもその記述方法について、若干の整理が行われました。

日本ではまだ導入劇場も限られていますが、従来の Atmos、DTS-X、Auro の各方式の記述に加えて、新たに標準規格として定めされた SMPTE の IAB (Immersive Audio Bitstream) を表す記述が導入されました。

CPL メタデータの拡張(付録 12

新たに追加された付録ですが、『デジタルシネマ名前付け規則』の表面的には影響を与えるものではありません。

但し、SMPTE DCP を作成しようとする制作者は注意が必要ですし、上映システムを設計するメーカーも対応が必要です。

以上が V9.5 からの主な変更点になります。

ご不明な点などありましたら、お気軽にお問い合わせください。

最後に余談ですが、この日本語訳はオリジナル版の HTML のソースを書き換えているため、オリジナルのウェブ作成ツールに依存したレイアウトを保持しきれず、細かい調整を入れております。読み辛い箇所などありましたら、併せてお問い合わせよりお知らせください。

作成者: Yoshihisa Gonno

デジタルシネマ黎明期の2005年から国内メーカーで初のデジタルシネマ上映システムの開発をリード。その当初からハリウッド周辺の技術関係者との交流を深め、今日のシネマ技術の枠組みづくりに唯一の日本人技術者として参画。
2007年から5年間、後発メーカーのハンディキャップを覆すべく米国に赴任。シネマ運用に関わるあらゆる技術課題について、関係各社と議論、調整を重ねながら、自社システムの完成度を高め、業界内での確固たる地位を確立。
2015年からは技術コンサルタントとして独立。ハリウッドシネマ業界との交流を続けながら国内のシネマ技術の向上に向けた活動を続けている。
2018年から日本人唯一の ICTA(国際シネマ技術協会)会員。
プライベートでも「シネマ」をこよなく愛し、これまでのシネマ観賞(劇場での映画観賞)回数は1500回を優に超える。

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