都内での経路不明の感染拡大に伴い、この週末は首都圏の多くの劇場で上映が休止されることになりそうです。一方、海外でも様々な動きが続いているようなので、順次取り上げたいと思います。
米国上院の高速対応
先週 NATO から提出された救済措置の要望に応えて、満額回答ではないかと思われる内容が米国上院の超党派の合意として発表されました。詳細は今後詰めるとしながらも、
- 休館中の固定費支払いのために劇場や関連事業者に 4540億ドル(約50兆円)の融資を保証する。
- 大多数の劇場所有者が該当することになる中小企業支援プログラムを拡張し、一部項目に関しては返済免除の融資を行う。
- 給与税の繰り延べ、事業損失の繰り越しを認める条文追加、優良資産に関する条文修正。
- 休業中の雇用継続や売り上げ喪失を配慮した税額控除。
- 最大4ヶ月までの労働者の雇用保険の延長と拡大(支給額の増額、パートタイム従業員への適用も含む)。
- 労働者に対する税額控除の拡大。
というかなり具体的な内容となっています。
たった1週間でここまでの回答が得られるのは、政治家からもシネマ業界が重要視されていることの証でしょうか。
長期休業後の上映システム再稼働
長期間上映システムを停止させた後の再稼働に関して、業界内では休館騒ぎが始まった当初から懸念が挙げられていました。
デジタルシネマの上映システムは多くの場合、様々なメーカーの機材が様々なインターフェースで接続された組込みコンピュータの複合体で構成されています。
通常の使用下では問題なく連携して動作していても、長期間電源から切断された状態から再起動する際には、設置時と同じような注意や作業を要することもあります。
デジタル家電の電源を入れるのとは訳が違うのです。
感染騒動が治り映画館を再オープンできることになっても、最悪の場合、上映システムが正常に動作しないという事態が懸念されます。
起きてしまうとかなり厄介なのはセキュリティーモジュールの電池切れで、この内蔵時計が初期化されてしまうと、顧客自身の手で正常動作に復帰させることはできなくなってしまいます。
このような状況に陥らなくても、少しでも問題を回避できるように、欧米市場のいくつかの業界団体(UNIC、ISDCF など)やメーカー各社からは注意書や手順書のようなものが提供され、中小の劇場でも最低限の対応ができるように配慮が進められています。
しかし、このような資料を公開していないメーカーもあり、さらに日本市場向けにはまとまった情報が公開されていないという状況です。
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