今年2月に微修正公開された DCI の認証規格 CTP 1.4.2 に基づく HDR Direct View Cinema Display(直視型シネマディスプレイ)が認証されました。中国メーカーの攻勢が続きます。
シネマディスプレイ
今回認証を受けた HDR 直視型シネマディスプレイは2系統。
前回の China Film Technology 社 CINITY LED の新機種 CFL-20S に加えて、中国 Timewaying Technology 社の LA4K-06(及びその派生機種と見られる LED Tokyo 社の LTC4K-06)です。
シネマサーバー
それぞれに組み合わせて使用されたシネマサーバーは、昨年末に CTP 1.4.1 で認証を受けた GDC 社の SR-6400C とその派生機種であった SR-5520 で、後者は今回 Timewaying Technology 社のシネマディスプレイと組み合わせた上映システムとして CTP 1.4.2 での認証試験に臨んだようです。
ディスプレイパネルの穴空き構造
実物での確認はできていませんが、興味深いのは CINITY LED の新機種 CFL-20S では画面背後からの音響を透過させるための穴が空けられた構造になっている模様です。このような構造はいくつかのメーカーからも提案され始めており、その有効性と課題に関する報告を待ちたいところです。
関連情報(すべて英語サイト):
DCI 認証規格 – Compliance Test Plan (CTP)
https://www.dcimovies.com/compliance-test-plan
DCI 認証規格 – CTP 1.4.2
https://documents.dcimovies.com/CTP/release/1.4.2/
HDR 直視型シネマディスプレイ認証取得機器
https://www.dcimovies.com/compliant-equipment?class=hdr-direct-view
果たして3方式三つ巴になるのか?
劇場数や作品数で世界的に先行する Dolby Cinema や、遂に劇場への導入と対応作品が出始めた HDR by Barco と比べると、DCI が規定する HDR 規格準拠とはいえ、対応作品を制作する側への浸透や顧客体験に対するブランディングの面で今後の動きに期待する必要がありそうです。
SDR機種も各種
直視型シネマディスプレイに関しては昨年中に旧規格への駆け込みで SDR プロジェクターとして認証を受けた機種が登録されましたが、これらの派生モデルとしてさらに多くの機種が申請されました。
Timewaying Technology 社からも画面サイズの異なる 2K モデル5機種、4K モデル4機種が、さらに他数社からもいくつもの型番の直視型シネマディスプレイが、旧規格の SDR プロジェクターとして認証を受けた機種の派生モデルとして申請されました。
導入を検討する劇場にとっては画面サイズ、解像度などの選択肢が増えることは歓迎すべきことかも知れませんが、価格、品質、性能、サービス性など、今後の市場での受け止められ方を注視していきたいと思います。
ディスプレイパネルの穴空き構造は最終的な解となるのか?
そしてやはり興味深いのは、こうしたモデルの多くの機種で音響透過のためと思われる穴空き構造を持っている点です。果たしてこのような構造が直視型シネマディスプレイの音響の問題に対する根本解となり、標準的なパネル構造として受け入れられるようになるのか、しばらく目が離せないようです。