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SMPTE DCP Bv2.1 アプリケーションプロファイル 無料公開

今日世界各地で広く利用されているデジタルシネマパッケージ規格である SMPTE DCP について、その運用上の制約を規定する 『SMPTE DCP アプリケーションプロファイル』 (SMPTE RDD52) が無料で公開されました。
通常 SMPTE の規格は有料にて販売されていますが、SMPTE DCP の市場普及を促進すべく、長らく ISDCF から SMPTE に対して働き掛けを続けてきた結果、遂に無償公開の運びとなりました。関係者の努力に感謝です。

今日世界各地で広く利用されているデジタルシネマパッケージ規格である SMPTE DCP について、その運用上の制約を規定する 『SMPTE DCP アプリケーションプロファイル』 (SMPTE RDD52) が無料で公開されました。

通常 SMPTE の規格は有料にて販売されていますが、SMPTE DCP の市場普及を促進すべく、長らく ISDCF から SMPTE に対して働き掛けを続けてきた結果、遂に無償公開の運びとなりました。関係者の努力に感謝です。

関連資料:

SMPTE DCP はまだ日本ではごく一部の上映方式でしか使用されていませんので、国内での SMPTE DCP の配給に際しては注意が必要です。

SMPTE DCP と Interop DCP の見分け方については、デジタルシネマ名前付け規則付録8: 準拠規格とDCPの形式)をご参照ください。

SMPTE DCP 『アプリケーションプロファイル』とは?

まず前提として、現在流通しているDCPの形式は Interop DCPSMPTE DCP のいずれかに分類されるという知識があるものとします。

SMPTE DCP の技術規格は2007年に初版が発行されましたが、当時市場では Interop DCP という形式が流通していました。

デジタルシネマ業界コミュニティーである ISDCF では、市場で流通するDCPの形式を Interop から SMPTE に移行するために様々な運用上の技術検証を行いながら、段階を経た作業を進めてきました。

その過程で、 SMPTE DCP の一連の規格書だけでは自由度が高過ぎて運用上の混乱が想定される内容も多く、これらに対して制約を設けたり、明確化を行いながら文書化を進め、並行してテスト素材による検証作業を進めながら、市場運用の詳細を規定してきました。

その結果、今日市場で流通する SMPTE DCP の運用基準となっているのが『SMPTE DCP Bv2.1 アプリケーションプロファイル』となります。

Bv2.1 というのは検証過程で生まれた A/B/C/D の4つのプロファイルの中の B プロファイルバージョン番号 v が 2.1 を意味します。

この Bv2.1 は2015年頃には既に落ち着いており、その時点で北米市場での SMPTE DCP 導入は本格化していましたが、より本格的な普及を促進するために、SMPTE の登録公開文書 (RDD) として発行しました。

ところが、当初はISDCFの公開技術資料として作成したものでしたが、SMPTEに登録されたことにより有料文書となってしまい、かえって普及を阻害しかねない状態になったことを問題視し、無償公開に向けた努力が続けられてきた訳です。

今回の無償公開を切っ掛けとして、SMPTE DCP への移行に弾みがつくことを期待したいものです。

日本では???

さて肝心の日本の状況ですが、見通しが芳しくありません。

これまで何度か述べてきたように、日本語字幕、特に縦書きルビの表示に関して、上映時にレンダリングを行う方式では上映機材の機種毎に表示位置のバラ付きが出てしまうことが知られており、今回の Bv2.1 の内容でもこれを解決することができません。

この問題を安全に回避するには、日本語字幕をDCP制作時に主映像に焼き込んでしまう方法しかありません。

しかし、この方法では制作時に掛かる時間とコストが増えてしまうため、あまり好ましい方法とは考えられず、SMPTE DCPに移行することによるメリットも十分に活かせないことになってしまいます。

一方、この問題の根本的な回避のためには、市場に出回っている機材を改修しなければならず、そのために掛かる手間は莫大なものとなることが予想され、現状では日本国内では SMPTE DCP 移行によるメリットよりもデメリットの方が大きなものになることが懸念されます。

とはいえ、制作者が字幕を主映像に焼き込むことを決めれば、明日にでも SMPTE DCP への移行は起こり得るので、事業者としてはしっかり準備をしておくことが推奨されます。

作成者: Yoshihisa Gonno

デジタルシネマ黎明期の2005年から国内メーカーで初のデジタルシネマ上映システムの開発をリード。その当初からハリウッド周辺の技術関係者との交流を深め、今日のシネマ技術の枠組みづくりに唯一の日本人技術者として参画。
2007年から5年間、後発メーカーのハンディキャップを覆すべく米国に赴任。シネマ運用に関わるあらゆる技術課題について、関係各社と議論、調整を重ねながら、自社システムの完成度を高め、業界内での確固たる地位を確立。
2015年からは技術コンサルタントとして独立。ハリウッドシネマ業界との交流を続けながら国内のシネマ技術の向上に向けた活動を続けている。
プライベートでも「シネマ」をこよなく愛し、これまでのシネマ鑑賞(劇場での映画鑑賞)回数は1500回を優に超える。

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