さて、2月にご報告したように、ソニーデジタルシネマ・プレミアムラージフォーマット “Sony Digital Cinema Premium Large-format” の一号館が4月5日、ラスベガス市内のショッピングモール Boulevard Mall [GoogleMaps] にオープンしました。
劇場オープン初日(CinemaCon 2019 最終日の翌日)、商業上映第一回目の上映(”Shazam!”[IMDb] )を体験することができました。
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Galaxy Theatres at Las Vegas Boulevard Mall, Nevada
今回導入先となったのは、米国西部5州に展開する中小規模の劇場チェーン “Galaxy Theatres” がラスベガス市内のショッピングモールに新規にオープンした9スクリーンのシネマコンプレックスです。
以下、写真のスライドショーでご覧ください。
以上の通り、上映システムの構成は概ね前回の分析通りだったので、あまり付け加えることはありません。
様々な可能性を秘めた上映システムであると同時に、多くの課題を抱えた上映システムでもあるので、ソニーが今後シネマ業界に対してどのような動きをみせてくれるのか、大いに気になるところでもあります。
IMAX や Dolby Cinema の対抗馬になる?
残念ながら、現時点では IMAX や Dolby Cinema のように上映システムの特性を引き出すための DCP が提供される訳ではないということです。
すなわち、音響に関しては Dolby Atmos の立体音響を楽しむことができますが、映像に関しては一般上映と同じ DCP が使用されるので、リクライニングシートで大画面を楽しむ。現時点でそれ以上の期待はしない方が良いかも知れません。
そもそもブランド名は?
事前の発表では “Sony Digital Cinema Premium Large-format” という長い呼び名が使われていましたが、結局劇場には “Sony Digital Cinema” というサインしか見当たりませんでした。
これならこれでシンプルで良いと思いますが、そうすると従来のソニー製の上映システムとはどのように区別して呼ぶのか、判然としません。
(”IMAX” がその名のもとに優劣品質の異なる様々な上映システムを展開しているのにも似ています。)
この辺り曖昧にせずに是非とも明確な定義とわかりやすいブランディングを期待したいところです。
上映システムに関するコメントはこのくらいにして、実際の上映を体験した感想を綴ってみます。
Shazam! / 3D の観賞体験
期待のこけら落としの上映品目は “Shazam!”[IMDb] だったのですが、上映スケジュールの関係で、残念なことに 3D 上映を観ることになってしまいました。
折角なので 3D 方式に関して注記しておきましょう。この上映システムでは波長フィルターを使用する Dolby 3D 方式ではなく、円偏光フィルターを使用する RealD 方式が採用されています。
Dolby 方式よりもメガネが軽く、自分のメガネの上にも掛けやすいのは良いですが、それでもやはりレンズと顔の間の散乱光による不快感は禁じ得ないものでした。
折角の 4K 解像度で高コントラストの上映システムですが、2K/3D の品質しか楽しむことができなかったのはとても残念でした。
この上映システムの真価を発揮するには多くの課題が山積していることを実感して劇場を後にすることになってしまいました。