付録 8
準拠規格とDCPの形式
準拠規格 今日までのところ、殆どのデジタルシネマパッケージ(DCP)は Interop-DCP の形式で配給されています。この形式はこれまでの運用の中で事実上の標準(デファクト)となった内容に基づいています。業界では正式な SMPTE (Society of Motion Picture and Television Engineers) 標準に移行する試みが続いています。これは主としてプロジェクターよりもサーバーに影響を及ぼしますが、プロジェクターで字幕を生成する場合には、プロ ジェクターも影響を受けます。DCPの構造を識別できるように、Interop-DCP には"-IOP" を、SMPTE-DCP には "-SMPTE" をそれぞれ明示的に表記します。加えて、DCP が 3D版の場合、"-3D" が付加されます。これにより、ファイル名の末尾で素早く準拠規格を識別し、3D版か否かを判別できるようにしています。
OVファイルとVFファイルにラベルを付けるに当たって、守らなければならないルールがあります。:
本編のバージョン番号は作品の分類の項目に付加します。 例えば:
MOVIE-TITLE_FTR-1_F_EN-XX_US-PG_51-EN_2K_ST_20070115_FAC_OV
MOVIE-TITLE_FTR-2_F_EN-XX_US-PG_51-EN_2K_ST_20070115_FAC_OV
上の例では、本編バージョン#1 と本編バージョン#2 にはいずれもそれ自身の OV ファイルがあることが分かります。それぞれのOVファイルには上映に必要なすべてのデータが含まれており、(KDMを除いて)他に何も追加することなく上 映することができます。
本編作品の第一言語を使用したオリジナルのOVファイル は存在しますが、加えて「包括国際バージョン」のためのOVファイルも存在することがあります。この包括バージョンには 字幕版または無字幕版があることがあり、名前付け規則の配給地域の項目に次のように表記します。:
INT-TD = 字幕版
INT-TL = 無字幕版
例:
米国向けオリジナル英語バージョンの表記例:
MOVIE-TITLE_FTR-1_F_EN-XX_US-G_51-EN_2K_ST_20070115_FAC_OV
本編作品の包括国際字幕版には個別にOVファイルが存在 します。その配給地域の項目には "INT-TD"と表記され、作品の分類の項目には"FTR-2"と表記されます。:
MOVIE-TITLE_FTR-2_F_EN-XX_INT-TD_51-EN_2K_ST_20070115_FAC_OV
包括国際無字幕版にも個別にOVファイルが存在します。 その配給地域の項目には "INT-TL"と表記され、作品の分類の項目には"FTR-3"と表記されます。:
MOVIE-TITLE_FTR-3_F_EN-XX_INT-TL_51-EN_2K_ST_20070115_FAC_OV
極めて重要な注意点として、ひとつひとつのOVファイ ルには作品分類の項目で異なるバージョン番号を付けて区別しなければなりません。
とはいえ、個々の地域配給版のために、新たに
You do not need to create a new OVファイル を作成する必要はありません。これは既に存在するOVファイルにVFもしくは"Version File"を組み合わせ ることができます。
オリジナル米国向け英語バージョンのDCPを次のように 表記したとします。:
MOVIE-TITLE_FTR-1_F_EN-XX_US-PG_51-EN_2K_ST_20070115_FAC_OV
フランス語バージョンを作成するには、変更内容を含む補 足パッケージ作成することができます。これを次のように表記することができます。:
MOVIE-TITLE_FTR-1_F_FR-XX_FR-AA_51-EN_2K_ST_20070115_FAC_VF-1
"VF-1"を正常に上映するには、VF-1に加えてOVファイルFTR-1 (本編バージョン#1) が必要です。 両者を合わせて処理することでフランス語バージョンができます。ここで、作品の分類の項目の本編バージョン番号は変更し てはなりません。
バージョンファイルを使用する限り、単に配給地域毎の 変更を行っても、本編のバージョン番号は変わりません。
地域配給のバージョンとしてどうしてもOVを作りたけ れば、それは可能ですが、その場合、本編のバージョン番号は変えなければなりません。 (一つの本編バージョ ンに対して複数のOVを持つことはできません。
複数の配給地域に向けて映像や音声を差し替える場合 は、新しいバージョン番号を付けたOVファイルを新たに作成しなければなりません。
バージョンファイルの仕組みはオープンキャプション版、 クローズドキャプション版を作成する際にも使えます。
CPLの内部
ここでの CPL は SMPTE-DCP に紐付けられているという前提です。 Interop-DCP はいずれは次第に使われなくなるフォーマットです。
DCPの形式 殆どのDCPには本編または予告編の全てが含まれています。しかし時として、"補足的な" DCPがリールや言語や他の機能を差し替えるために送られます。この "補足パッケージ" には通常すべてのデータは含まれず、この場合、両者を合わせて上映する必要があります。DCPの 形式とそれに紐づけられたCPLを識別するため(例えば、そのDCPにはすべてのデータが含まれるか一部分しか含ま れないかを知るため)、CPLの末尾に記号が付加されます。その記号には以下の二つがあります。:
OV = Original Version オリジナルバージョン
と
VF = Version File バージョンファイル
An "OV"パッケージには常に上映に必要なすべてのデータが含まれます。"VF"パッケージには通常部分的なデータ(字 幕、代替言語、シーンの寄せ集め)しか含まれず、正しく上映するためには、OVトラックファイルも一緒にロードする必要があります。OVパッケージは必ずそれ自身のCPLとトラックファイルが同梱されて送付されます。VFパッケージは必ずそれ自身のCPLとしば しば差し替え用のトラックファイルが同梱されて送付され、既に存在しているOVトラックファイルに依存します。VFパッケージは時としてそれが紐づけられるOVパッケージと共に送付されます。この場合、OVパッケージはそれ自身のCPLを必要としません。何故なら、VF CPL が上映内容を規定するためです。 (下図参照)
CPLの内部
Content Version (DCPの形式) は //ContentVersion に表記されることがあります。:
<CompositionPlaylist>
xmlns="http://www.smpte-ra.org/schemas/429-7/2006/CPL">
...
<ContentVersion>
<Id>OV</Id>
<LabelText>Package Type</LabelText>
</ContentVersion>
...
</CompositionPlaylist>
また、この情報はAlternate Content Version として //Reel[1]//AlternateContentVersionList/ContentVersion[n] に表記されることもあります。:
<CompositionMetadataAsset>
xmlns="http://www.smpte-ra.org/schemas/429-16/2014/CPL-Metadata">
...
<AlternateContentVersionList>
...
<ContentVersion>
<cpl:Id>OV</cpl:Id>
<cpl:LabelText>Package Type</cpl:LabelText>
</ContentVersion>
...
</AlternateContentVersionList>
...
<CompositionMetadataAsset/>
追記:
1) CPLには明示的なOV/VFの概念はありません。ContentVersion や AlternateContentVersion の使用は推奨に過ぎません。
2) CPLにはその最上位のUUIDを含む"Id"要素があり、個々のバージョンを厳密に特定するために使用することが できます。