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映画館の抗菌対応

緊急事態宣言が全国的に解除され、首都圏の映画館でも営業再開に向けた準備に余念がないことかと思いますが、観客として気になるのは上映作品のラインナップもさることながら、映画館の衛生対応の状況かと思います。そんな中で、映画館の抗菌処理を積極的に準備を進めてくれている動きもありますのでご紹介します。

参考情報

これまで映画館の営業再開に向けた施策としてお知らせしてきた中では大きく触れられていなかったのが抗菌処理です。

映画館を『キノシールド』で丸ごと抗菌化

映画館の施工からグループ会社で執り行うキノシネマならではの取り組みですが、キャッチーなネーミングで映画館の抗菌化をアピールしているようです。

家庭用日用品でも抗菌加工という表示を目にすることも多いですが、不特定多数が接触する可能性の高い公共施設の各所に対しても処理を施しておくことで、不意な感染の機会を減らすことが期待されます。

処理の対象は館内全て 〜座席(座面・ひじ掛け)、劇場扉、トイレ、床、手すり、カウンター等〜 ということですが、各種日用品でも目にすることの多い酸化チタン(光触媒 TiO2)、銀イオン(Ag+)、可視光ゾル(Pt)などを組み合わて処理を行っているようです。

除菌消毒にはやはり日用品でも目にする塩素系薬剤及びアルコール剤、除菌洗浄剤等を使用し、除菌剤の空間噴霧、高頻度接触箇所の拭き上げ作業、除菌消毒作業を組み合わせることで処理効果を高めているようです。

キノシネマ以外でも同様の対策を講じている映画館も多い筈ですが、来場客に対して少しでも安心感を与えるためにも積極的にホームページ上で情報提供する努力には好感が持てますね。

衛生観念が不可欠

一方、これらの抗菌除菌対策は完全万能ではありません。感染を防ぐ上で最も重要なのは施設を使用する一人ひとりの人間の衛生観念とそれに基づく節度ある行動です。

これから待ちに待った上映再開が広まることが期待されますが、映画館から感染を広めてしまうことのないように心掛けながらシネマ鑑賞を楽しみたいと思います。

作成者: Yoshihisa Gonno

デジタルシネマ黎明期の2005年から国内メーカーで初のデジタルシネマ上映システムの開発をリード。その当初からハリウッド周辺の技術関係者との交流を深め、今日のシネマ技術の枠組みづくりに唯一の日本人技術者として参画。
2007年から5年間、後発メーカーのハンディキャップを覆すべく米国に赴任。シネマ運用に関わるあらゆる技術課題について、関係各社と議論、調整を重ねながら、自社システムの完成度を高め、業界内での確固たる地位を確立。
2015年からは技術コンサルタントとして独立。ハリウッドシネマ業界との交流を続けながら国内のシネマ技術の向上に向けた活動を続けている。
2018年から日本人唯一の ICTA(国際シネマ技術協会)会員。
プライベートでも「シネマ」をこよなく愛し、これまでのシネマ観賞(劇場での映画観賞)回数は1500回を優に超える。

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