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横浜みなとみらい地区にミニシアターオープン

3Dだの、4Dだの、プレミアムスクリーンだの、大掛かりで高価な上映システムが注目されることが多い中、落ち着いて良質な映画を楽しむことができそうな劇場が、4月12日、横浜みなとみらいにオープンしました。

関連情報

キノシネマ/横浜みなとみらい

新しく映画館ができたのは、横浜みなとみらいの居住地区と商業地区が混ざり合うみなとみらい大通りに面した高層マンションの2階です。

1階にはスターバックスとTSUTAYAが入るすぐ上のフロアーです。

このフロアー、以前はTSUTAYAのレンタルショップが入っていましたが、ここを丸ごと改装して、3スクリーンからなる映画館に生まれ変わりました。

客席数

劇場の客席数は111席が2館と55席が1館(いずれも車椅子2席分のスペースあり)からなります。

布製のスクリーン

スクリーン幅は5〜6mとこぢんまりとしていますが、適度に視野をカバーできる大きさなので、ドラマのような落ち着いた作品を観るには十分な没入感が得られるでしょう。

何よりも嬉しいのはスクリーンの素材です。昨今の樹脂製の高輝度のスクリーンとは異なり、繊維製(布地)のスクリーンをフレームに張り付けて固定しているので、柔らかい乱反射による目に優しい自然な映像を楽しむことができます。

この点も落ち着いた没入感を与えるのに一役を買っていると言えるでしょう。

天井設置のプロジェクター

既設の建物の1フロアーの空間を有効利用するための工夫といえると思いますが、上映機材(プロジェクター等)は映写室ではなく天井にスッキリと収納されています。

冷却ファンの音も上映を妨げることのない殆ど気にならないレベルに抑えられています。

必要十分な音響

小さな劇場でありながら、7.1chの音響に対応しているようで、落ち着いて良質な作品を楽しむには十分な音響でしょう。

一応 3D 対応も

果たしてこの劇場に必要なのかは疑問ですが、万が一 3D 作品を上映したい場合にも対応できるように、一応上映システムの対応はできているようです。

ただし、通常の 2D 上映の画質を損なう偏光方式ではなく、液晶シャッター方式のXpanD(エクスパンド)社製のシステムが導入されているようです。

上映作品

一番気になる上映作品のラインナップですが、所謂アートシアター系の作品を多数取り揃えているようです。

巷には、大スクリーン、高コントラスト映像、立体音響で楽しみたい作品もありますが、このような場所の方が落ち着いて観賞できる良質な作品も沢山あります。

今後の上映予定をみても、大手シネコンではあまり観る機会のない作品を続々と準備してくれているようなので、個人的にも観客として応援していきたい映画館になりそうです。

作成者: Yoshihisa Gonno

デジタルシネマ黎明期の2005年から国内メーカーで初のデジタルシネマ上映システムの開発をリード。その当初からハリウッド周辺の技術関係者との交流を深め、今日のシネマ技術の枠組みづくりに唯一の日本人技術者として参画。
2007年から5年間、後発メーカーのハンディキャップを覆すべく米国に赴任。シネマ運用に関わるあらゆる技術課題について、関係各社と議論、調整を重ねながら、自社システムの完成度を高め、業界内での確固たる地位を確立。
2015年からは技術コンサルタントとして独立。ハリウッドシネマ業界との交流を続けながら国内のシネマ技術の向上に向けた活動を続けている。
2018年から日本人唯一の ICTA(国際シネマ技術協会)会員。
プライベートでも「シネマ」をこよなく愛し、これまでのシネマ観賞(劇場での映画観賞)回数は1500回を優に超える。

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